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表紙

『株式会社安田製作所 60年の歩み』

予算、時間の制約の中でいかに発刊意図を達成するか…
そのための創意工夫を楽しみました。

A4判48ページ、並製本 2006年10月発行

株式会社安田製作所 取締役 小田 至 様

制作決定から発行まで1年を切っていたとうかがっていますが?

制作が決定したのは2月でした。発刊は10月、社長の鶴の一声でした。

時間との戦いでしたね。

ええ。ただ、そうはいっても、社史は発刊の目的が明確でなければ軸がブレてしまいます。当社の場合、それは第一に体系的にまとめた記録を残すこと、第二に社員に会社の歴史を知ってもらうことでした。そこで、取引先や業界他社の社史を参考にしながら、発刊目的にかなって、なおかつ、収集可能な資料や材料で実現可能な企画を組み合わせていくことを考えました。

Excelを使って本の形に綴じたレイアウト見本を作っておられたのには驚きました。

専門家ではないので、全体のバランスを見るためには、実際に簡単な見本を作ってみるのが早道です。社長の承認を得る上でも、この記事は全体の中でこういう意図をもっています。これを変えると、全体のバランスはこうなります、と説明したほうがわかりやすいし、相談しやすい。これは正解だったと思います。

ページ数などはどうやって決定されましたのでしょうか。

完成社史

限られた予算の中で何ができるかを、御社の営業の方に相談して見積もりを出してもらいながら詰めていきました。このページ数で、カラーページをこう配分すると、いくらになる、だったら、まだこれもできるな、というようにです。

構成や原稿執筆はほぼお一人でされていますが、大変だったでしょう?

それほど苦労した印象はありません。むしろ、いちいち編集会議のような場で相談するような方法をとっていたら、いろいろな意見が出て、この短時日ではまとまらなかったでしょう。ウチくらいの規模で、オーナー会社なら、担当一人で考えて全体構成を考慮しながら、そのつど社長の了解をこまめに得るというほうが、スピーディーに進むと思います。

他の方々のチェックは受けられなかったのですか?

やはり、一人の視点では過不足や見落としも多々あると思いますので、私のほうで人選して見ていただきました。ただ、衆議で進める体制をとらなかったということです。

創業物語を記事にしておられますが、60年前の資料は豊富にあったのですか?

完成社史

ほとんどなかったのですが、幸い創業者の一人が健在ですから、聞き書きで構成しました。実は、話を忠実に書き留めた生々しい内容を含むものと、社史に掲載するために体裁を整えたものと、原稿を2通り用意したんです。それで生々しいほうも社内に記録として残しておくことを前提にしました。そうすると、外に出す記事はここまでの内容で抑えるといったコンセンサスが、本人からも得られやすいんですね。この取材・執筆・校閲の過程を通じて、創業者の一人の方と、とても良いコミュニケーションができたと思いますし、会社の歴史を深く知ることもできました。正直に言って、楽しい仕事でした。

座談会の司会もされていますが、大変だったのでは?

実は司会というほどのことはしていません。参加者に「苦労話や思い出を話してください」という簡単なお願いだけをし、自由に話してもらいました。話はいろいろな方向に飛びましたが、私はポイントだけをメモし、あとから再構成して原稿にしました。ただ、出席者の発言頻度ができるだけ均等になるようまとめるのに気を遣ったのが、苦労といえば苦労ですね。

写真を豊富に使っておられますが、どういう方法で集めたのですか?

完成社史

創業期は社長や創業者の一人の個人アルバムも使わせてもらいました。自宅が事務所という時代ですから、そのなかに会社の記録として使える写真がかなりありました。その後の時代は、社内行事関係はOBの個人アルバムや総務のアルバムから、製品関係は営業が保管していたカタログや技術部の資料倉庫に保管されていた技術資料から収集しました。

技術資料やカタログが大事に保管されていたんですね。

この業界は製品の息が長いんです。古い機械や工具を何年も使っておられるユーザーさんもあって、20年以上も前の機械のメンテナンスを依頼されることなどもありますから、技術資料は長く保管する社風になったのでしょう。

年表に製品開発の変遷の項を設け、豊富に写真を掲載して特色を出されていますね。

完成社史

「技術記録」としても写真は重要でした。見る人が見れば、写真だけでその機械がどんな仕組みで何をするための機械かわかるからです。実際、配布した古い取引先から、「御社の歴史は送電線工事機械工具の歴史と一致する。昔の機械はこうした仕組みのものを使っていたのかと改めて勉強になった」という言葉をいただき、我が意を得たりの思いでした。

そういう反響をいただくとうれしいですね。

実は当初は社外に配るかどうか未定でした。資料の有無や時間的な制約もあって、あえてビジュアル中心の企画を選択したので、やはり完成品の見栄えを気にしていたんです。しかし、社長が完成した社史を見て、良いものに仕上がったからと、社外にも配ることを決定したんです。好評で、ホッとしました。取引先の会長からウチの社長じきじきに電話があり、「シンプルで写真が多く、読みやすい」との言葉をいただいたりもしました。やはり、気軽に手にとって目を通せる体裁にしたのは正解だったと思います。

これから社史を制作する方々にアドバイスがありましたらお願いします。

理想論ばかり追わずに、与えられた条件のなかで、いかにして意図を達成するか創意工夫するということではないでしょうか。大企業の正史ならいざしらず、当社くらいの規模の会社で、ページ数も限られているなら、そういう考え方も大事だと思いますし、そのほうが楽しいと思います。

ありがとうございました

■株式会社安田製作所 プロフィール

電力・通信・鉄道事業に関連する、架線用機械工具及び装柱金物の総合メーカー

http://www.yasuda-s.jp/

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