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表紙


『Lasertec 50年史』

A4判 上製 124頁 2012年2月発行


「温故知新、可以為師矣」、「不易流行」を基本方針として社史を編纂
変化が早く且つ大きな時代だからこそ原点を見つめ直し新たな創造へ

レーザーテック株式会社 企画IR室 シニアアドバイザリースタッフ 今井哲也 様

社史編纂をスタートされたのは、発刊日のどのくらい前だったのでしょうか?

完成社史

当社は2012年に会社設立50周年を迎えました。 社史編纂を決定したのは、刊行予定(2011年12月)16ヶ月前の2010年8月になりますが、実際に社長をはじめ、役員、全責任者が参加してのキックオフ会議を開催したのは2010年11月です。

刊行は、全体の作業が遅れて、当初予定より2ヶ月程遅れの2012年2月となりました。

どのような体制で臨まれましたか?

完成社史

小さな会社故、特に編纂委員会というような組織・体制は設けませんでした。私が全体のまとめ役となり、最古参の社員の助けなどを得ながら、本編についてはOBへの取材を通じて、また資料編については過去の新聞記事や社内ヒアリングなどをベースに必要な情報を入手し制作を進めました。

取材では、初めて知る様々な貴重な情報が得られました。

今回が初めてとなった社史(50年史)ですが、制作にあたって重視された点や編集方針をお聞かせ下さい。

完成社史

当社の創業者である内山康は、20年前に61歳という若さで急逝したため、社員の中でも直接薫陶を受けた者が極めて少なくなりました。したがって、先ずは創業者の人となりや考え方、生き様を正確に掘り起こし、製品開発にかけた思いや経営理念の背景などを事業の歴史の中で今に伝えることを心がけました。

また、編集方針は、論語の「温故知新、可以為師矣」を念頭に進めました。すなわち「未来を知ることはできないが、過去の出来事を学ぶことで、新しいことを知り新たな創造が可能となる。過去を学ぶとは、単に伝統などを踏襲することではない。過去のことを温めて、再燃焼させ、今の自分を照らすこと。過去の歴史と現代をともに知り、はじめて人を導く資格をもつことができる」を心掛けて制作にあたりました。これに基づき、過去の歴史の記述だけではなく、会社が今何を考え、未来をどう切り拓こうとしているのかについても充実させました。当社の50年史の特長の一つと思います。

巻頭に創業者の書かれた文章(「挫折からの脱出」)、本文中に創業者の経営語録を掲載した理由をお聞かせ下さい。

完成社史

巻頭の文章は、生前、創業者が出身校である広島陸軍幼年学校の記念文集に寄稿したものです。創業者が、肺結核という病歴ゆえに大学卒業後数年間、就職もままならず、具体的なあてもない中、悲壮な思いで単身上京し四畳半のアパートで創業した当時の様子が克明に描かれた寄稿文で、全社員には是非ともこの創業時の厳しい状況を理解してもらいたく全文を掲載しました。

また、創業者の言葉には普遍的なものが沢山あります。壁に当たったとき、判断に迷ったときなどの一つの指針としてこのような無形の財産を活用してほしいと願い「経営語録」を掲載しました。

制作にあたって、特に苦労されたのはどの点ですか?

完成社史

当社は開発主体の会社ですが、私自身は技術者ではないため、技術部門やベテランの社員から何度も技術・製品について丁寧な講義をしてもらい、それを元に本編や資料編の制作を進めました。技術・製品開発の歴史や50年間の主要製品の特長を社史用に簡潔にわかりやすくまとめていく作業は技術の進化も早く骨の折れる仕事でした。

また、創業時からの定型的な記録などが何も整備されておらず、各時代における出来事の正確な背景や年表や各種統計グラフ等の数字の確認作業には大変苦労しました。


社史制作をご経験されて、どのような感想を持たれましたか? また、社史を発行することの価値や意義についてはどのようにお考えでしょうか?

完成社史

50年という長い期間に亘る会社の成長の詳細な過程を、試行錯誤や成功例を含めて初めて体系的にまとめた貴重な正史が完成したと思います。

社員が当社の歴史について共通認識を持つと同時に、新たな誇りにつなぐことができれば、会社としても一つの大きな進歩になると考えています。

刊行されてからの反響はいかがでしたか?

創業時を知らない多くの社員からは「初めて会社の歴史の全貌がわかった」、またOB諸氏からは「よくまとめてくれた、自分が知らなかった情報もいろいろ有り大変勉強になった」などのお褒めの言葉をいただきました。

最後に、今後、社史制作の仕事を担当される方へのメッセージをお願いします。

今回、最も苦労したことの一つは、毎年の活動記録をまとめたものが何もなかったことです。会社の方針、業績、製品、組織、トピックスなどを定例業務の一つとして1年毎に記録し、それに関連する写真や資料を保存しておくと良いと思います。

また、通常業務と兼務のなか結構な負担となりますが、会社で作成する全資料の中で社史ほど長期間にわたって保存されるものはなく、完成の暁には大きな達成感を享受できると思います。

お忙しいところありがとうございました。

■レーザーテック株式会社 プロフィール
「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」ことを経営の基本とし、レーザー顕微鏡、エネルギー・環境、半導体、FPDの関連製品を生み出しています。

http://www.lasertec.co.jp/

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