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表紙


『千島土地設立一〇〇周年記念誌 日本語版・英語版』

日本語版:A4判 224頁 上製本 2012年8月発行

英語版:A5判・4分冊 88頁(4分冊計) 並製本、2012年7月発行


当社の歴史を読みやすく伝えながら、「社史」のもつ固定的イメージからの脱却を図りました。

千島土地株式会社

地域創生・社会貢献事業部 課長代理 川嵜 千代 様

御社一〇〇年誌は、内容の異なる「日本語版」「英語版」の2パターンを制作されましたが、こうした社史の制作をご決定された経緯をお教えください(発案された方、理由など)。

完成社史

当社は航空機事業などで海外事業を手がけていることから、当初から日本語版とともに英語版の制作を考えていました。
日本語版の構成が具体化する中で、国内向けの内容で原稿量も多い日本語版をそのまま英訳するのではなく、海外での使用目的に合った英語版をということになり、仕様やデザインの詳細を別途検討しました。

日本語版では「絵物語」のパートを設けられるなど、通常の社史とは異なるユニークな企画が盛り込まれております。どのようなコンセプトの下に、企画をご決定されましたか?

完成社史

当社の五十年史が専門的な内容で少し読みづらいということもあり、社員が会社の歴史にあまり詳しくなかったことから、社内で読まれる記念誌にすることを心掛けました。
同時に、当社は大阪の地に根差した不動産会社であり、会社の歴史が当社所有地の地域史に繋がるようなところがあります。そこで、社内や会社関係者の方々のみでなく、大阪の歴史に関心をお持ちの方にも楽しく読んでいただけるようなものにしたいと考えました。

上記に加え、当社所蔵の資料を今後死蔵しないためにも、社外の方に当社所蔵資料のPRをしたいと考え、多くの資料写真を掲載しました。

全体構成では、当社の歴史と現状、創業家の歴史という過去・現在への視点のほか、未来への視点も織り込みたいということから、当社の取り組みに絡め、「大阪のまちづくりのこれから」というテーマで、まちづくりやアートなどの分野で活動されている社外の方を招いたトークセッションの模様を収録しました。
このトークセッションは、当社のこれからにとって大変示唆に富んだ内容であったと同時に、全社員が当社の方向性について共有することができた意義深い試みとなりました。

英語版も大変ユニークな構成・体裁に仕上がっておりますが、こちらについてもコンセプトをお教えください

完成社史

海外では、パーティーの席などで立ち話をしながら手渡す場面が多いことが想定されたため、

●持ち運びしやすいサイズ・重さであること

●ぱっと目に留まり、会話のきっかけとなるような仕掛けが施されていること

●さっと目を通すだけで、内容をある程度ご理解いただける原稿量であること

を意識しました。また、デザインにおいては、和綴じをイメージした製本にしたり、各分冊をまとめる際の風呂敷を制作したりと、日本らしさということも意識しています。

日本語版・英語版とも、社内外問わず多くの専門家が制作に携わった、いわば“コラボレーション社史”とでも呼ぶべきものとなりました。こうした体制でよかった点や悪かった点、ご苦労談などお聴かせください。

完成社史

いわゆる「社史」という固定的なイメージからの脱却を図るため、大阪で活動する若手のデザイナーと編集者に参加してもらいました。しかしながら、株式会社設立100年を迎える企業として、しっかり歴史を押さえる必要があったことから、その部分での資料の収集・分析等は、数多くの社史制作実績を持っておられる出版文化社様にお願いしました。

良かった点は、「社史」という枠に囚われることなく、当社がどういう意図で何を誰に伝えたいのかということを重視した様々なアイディアが引き出せたことです。

苦労した点は、関係者全員がこうした体制で記念誌作成を進めることに不慣れだったことから、途中で情報共有がうまくいかなかったり、役割分担が曖昧になってしまったりすることがありました。そうした際には全体で話し合いの機会を設け、都度体制の見直しを行いました。

一〇〇年誌の制作をきっかけに、古い史資料の整理も進められましたが、御社の歴史や独自性をどのような形で維持、継承なさりたいとお考えですか?

完成社史

当社で所蔵しているのは、江戸時代~明治初期の新田経営資料、区画整理などの土地開発関連資料、建築図面類、経理関係書類、過去に創業家が手掛けた事業に関連する書類……などなど、様々な分野に亘る多様な資料です。これらの資料の中には、当社のみならず、大阪の歴史にも非常に関連の深い、貴重なものが含まれていると考えていますが、社内でこれらの研究・調査体制が整っている訳ではないため、今後、これらの資料に関心を持ち、研究を行いたいという社外の専門家の方に資料を提供することで、所蔵資料の研究・調査を進め、その内容の解明と価値づけを行っていけたらと考えています。

一〇〇年誌完成後、社内外の反響にはどのようなものがおありでしたか?

完成社史

国内からは、まずデザインが素晴らしく読みやすいというお声を多くいただいています。また、これまで全貌が掴みにくかった当社の全体像がよくわかったというご感想も寄せていただきました。

海外でも大変好評で、関心を持って楽しくご覧いただけていると聞いております。

また、思いがけないことでしたが、一〇〇年誌の企画デザイン、印刷技術が評価され、日本印刷産業連合会主催の「全国カタログ・ポスター展」において「経済産業省 商務情報局長賞」をいただきました。

最後に、これから社史制作をお考えの方々に、何かアドバイスをお願いします。

完成社史

当社もかなり手探りで制作を進めましたので、アドバイスなどというのはおこがましいのですが……。

まず、制作後の活用も視野に入れ、制作の目的を最初にしっかり定めることは重要だったと思っています。社史の制作は複数の方が関わり、また長丁場になることから予想外の事態も数多く発生するため、ついつい作業途上でぶれが出てきてしまいます。当社は最初に記念誌制作の目的をまとめたメモを作成し、制作中に判断に迷った際には、必ずこれを確認し、原点に返って記念誌制作の目的を再認識するようにしていました。

また当社では、具体的に形が見えてきた時点で、予想外の修正や変更が色々と発生しました。形が見えてくると社内からの意見も活発に出るようになるので、特に後半のスケジュールに余裕を持たせ、タイムアップで無理矢理まとめてしまうということをなくせば、満足度の高い社史になるのではないかと思いました(とはいえ、ある程度のところできりをつけるのも大切なことだと思いますが。)

最後に、「索引」は当初“おまけ”のように考えてしまっていたのですが、後に資料として活用する際、非常に役に立っていますので、ある程度、原稿量があるようなら作成されることをお勧めいたします。

お忙しいところありがとうございました。

■千島土地株式会社 プロフィール
不動産賃貸と共に地域創生・社会貢献事業に取り組む。

http://www.chishimatochi.com/

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