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表紙

『不二鉄工所 創立50周年記念誌』

5年史編纂の苦労を教訓に、5年刻みで記録をまとめてきました。それを受けての50年史編纂でしたが、後につながる記録のまとめ方など、次の社史に向けて学んだこともたくさんありました。

A4判106頁、並製本 2004年11月発行

株式会社不二鉄工所 総務部主幹 間瀬純次 様

当初に設定された制作期間が5カ月半、結果としても8カ月半で完成されています。50年史としてはかなり短期ですが。

25年史を作った時に苦労された先代社長が、今後はせめて5年刻みに記録を残しておかなければいかんと考えられて、以後、5年毎に社内報の年史特別号を作ってきました。だから、近5年分の記録を集めればこの制作期間でもなんとかなると考えたんですね。

ところが、いざ取り組んでみたら、5年刻みの記録にも、年表があったりなかったりとか、内容に結構バラツキがありまして、3カ月延びたわけです。

どうして記録にバラツキが出たんでしょうか。

途中で担当者が代変わりして、少なくとも3人が担当しています。その間に統一基準がなかったんですね。後で50年史にまとめるためにということを念頭に取り組んでいたらよかったのでしょうが、作っているときはそういう意識がないから、担当者ごとにまとめ方が違ってしまったんです。そうはいっても、この5年刻みの記録があったればこそ、この短期間で発行できたことに違いはありませんが。

50年史を念頭においていたら、どういう作り方になっていましたか。

完成社史

これは今回の社史制作の資料整理の段階で教えていただいたわけですけれど、社業をいくつかのカテゴリーに分類して整理していく。あの形をとれば、少なくとも年表なしでは作れませんし、この分野の記録が抜けているということもわかりやすいわけです。それなりに正確で緻密なものを作らざるを得ません。

実際、取り組んでみて思ったのは、記録を残すのが眼目ならば、文章表現などどうでもいいから、データだけでも詳細、正確に整理・記録されていれば、どんなに楽だったかと。そうであれば当初予定の納期をクリアできたと、今でも思っています。

すると、やはりいちばん苦労されたのは資料整理ということになりますか。

完成社史

ええ、資料と写真の収集・整理ですね。種別の売上データが途中から記録されていないので、休日に家へデータを持ち帰って再計算したりとか、社内報で呼びかけても写真が集まらないので、自ら探しに歩いたり。写真のほうは、たまたま古いアルバムの入った段ボールの所在を知っている社員がいて教えてくれたので、助かりましたが、資料や写真はやはり、書庫のようなものを作って保管しておくべきだと痛感しました。

取材や原稿のチェックはいかがでしたか。

完成社史

誰からも原稿に大きな修正要請はなかった。それだけライターさんの作った原稿に違和感がなかったんだと思います。社内には最初、「社外の人が数カ月くらいつきあってくれたからといって、ウチの仕事をわかってもらえるんかいな」という冷ややかな声もあったんですが、実際に取材して、原稿を書いてもらううちに、認識はその正反対になりました。

編集の方にしても、こちらが気がつかないようなところまで指摘されて、「ここはこれでいいですか?」と、とても緻密にやっていただきました。社史の文面全体を仕上げていくのには、一文字レベルでの確認や修正が伴うのですが、そんな地味な作業でも、手間を惜しまずにやってくださいました。逆にそうでなければ、資料だけ揃っていてもこの短工期ではいけない。資料だけでどんどん進む理由が、ここにあります。

すると、次に社史を作る方へのアドバイスは「資料整理が第一」ということですか。

完成社史

それもありますが、メッセージとしては「いま自分が知っていることを記録することは、面倒で意義のないことに思えるかもしれないが、実は記録したとたんにそれは過去のものになる」ということを言いたいですね。

日常的なことでも、きちんと評価して書き留めれば、記録としての価値があるということですか。

完成社史

現状を記録することの値打ちを感じてほしいということです。社内報の原稿をいつも従業員に依頼しますが、なかなか原稿など集まりません。それは、自分の日常・会社での日常など、書いても価値がないし、照れくさいし、作文する時間の無駄だと思ってしまうんですね。

しかし、そうではない。書くときは現在の出来事でも、ひとたび書いたら、次に読み返されるときには過去になり、その記録があればこそ、過去が検証できる資料になる。

最近のビジネスで、中間報告書みたいなものを「成果物」と呼んで、作成した手数料をクライアントに請求する手法がありますが、記録をしておくということは、身内のための一種の成果物を作る行為だと思います。

完成社史

私どもの会社でいうと、創業当時の写真をファイリングした人は、まさか50年後の未来に、私がそのアルバムをひもとくとは予想していません。しかしそういった「成果物」があったからこそ、50年史という最終製品が完成したんです。ですから、記録をしておくということは、いわば、いつ誰が開けると決めていないタイムカプセルのような成果物をつくる行為、と言えます。だから時間をかける価値があるんだと、そういう意識をもってほしいんです。

いいお話ですね。最後に、社史を担当されてよかったなと思われたことはありますか。

編集の方が朝のラジオ体操に取材で立ち会われたときのことです。社長がみなにまじって体操しているのを見て、感心しておられました。われわれ従業員としては、ごく普通に思っていたのですが、それ以来、社長を大事にせないかんなという気持ちが強くなりました。

自分のいる会社を、客観的な目で見直し、良さを再認識していくという過程も、社史制作の意義のひとつなんだなと思えて、これがうれしかったですね。

ありがとうございました

■株式会社不二鉄工所 プロフィール

独創的技術開発・製品開発で世界のマーケットにその名を知られるウェブ(帯状シート)の製造・ 加工機械のトップメーカー。

http://www.fujitekko.co.jp/

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