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表紙


『近畿車輛のあゆみ』

A4判 上製/並製 244頁 2011年3月発行


目指すは、「激動の20年を記録し、次の100周年の足がかりとなる社史」でした。

近畿車輛株式会社 経営管理室 羽田憲一 様

社史編纂をスタートされたのは、発刊日のどのくらい前だったのでしょうか?

2008年9月ごろから社内で企画の検討や原稿作成のための準備を始めました。実際の社史発刊は2011年2月末でしたので、およそ2年半前になるかと思います。

どのような体制で臨まれましたか?

完成社史

90年史の制作方針としては極力社内でできることは社内で行い、社内で対応できない部分(原稿リライト、レイアウト、印刷・製本など)については社外に依頼することとしました。

そのため、社内でスムーズに作業を進めるため、次のような体制としました。

社史の大きな方針にかかわることについては「社史編纂本委員会」(本委員長は経営管理室担任役員)を設置し、方針決定機関としました。

社史原稿・資料は、必要に応じて専門分野項目ごとに小委員会を設け作成するとともに、全原稿・資料の総合化と内容調整を、社内委員および社外委員(出版文化社)で構成した「社史制作総合委員会」で行いました。また、作業日程調整や作業進捗管理など編纂体制全般についてのサポートは、社史編纂専任メンバーによる「社史編纂事務局」が担いました。

これまで50年史、60年史、70年史と社史を発刊されていますが、このたびの90年史における編集方針はどのようなものだったのでしょうか。

完成社史

今回の社史編纂にあたり、当社役員にヒアリングを実施しました。その中で、社長から「当社にとっての創業70週年から90周年にかけての20年間は激動の時代だった。この間、当社がどのようなことに直面し対応してきたのかを、経営史を中心に記録しておくことが重要だ。それだけではなく、来るべき100周年に向け足がかりとなるようなものにしたい。」とのご意見があり、これを今回の社史編纂基本方針としました。

完成社史

社史の構成は、これまでの社史に準じた構成を基本としました。しかし、口絵については不十分な面もあったことから、今回新たに口絵を検討するにあたり、編纂基本方針を反映した構成内容とするよう心掛けました。出版文化社からご提案いただいた、「写真構成による年表」は、口絵を構成する上で、大いに役立ちました。
また、今回すべてのページをカラーにしましたので、これまでの社史とは違い、写真やグラフがより鮮明に分かりやすくなり、文字離れの世代も含め多くの方に読んでいただけたのではないでしょうか。

原稿は社内で執筆されたそうですが、
その理由やその過程で気づかれたことなどはございましたか。

完成社史

社内でできることは社内で、という方針だったというものもありますが、社内の多くの部署や人たちが、社史の原稿執筆や編纂作業にかかわることで、自社や自部署にとってのこの20年間を再認識し、今後のさらなる発展に向けた意識高揚も期待してのことでした。
当社の社史は、創業から70周年までに略史と、この20年史による構成となっていますが、やはり、20年間の間隔は長く世代交代もあり、あらためて、10年程度の単位で歴史をまとめておくことの重要性を実感しました。

その中で、非常に役立ったのが当社の社内報でした。ただし、社内報独特の記述方法や、紙面量の関係もあり、出来事のすべてが記述されていないことから、今後、社内報をアーカイブの一環として有効利用できる手立ても必要に思えました。

当社は鉄道車両メーカーですが、今回社史編纂事務局メンバーに情報通がいたこと、また、事業廃止となった部門経験者もいたことも編纂にあたって有効でした。

社史制作をご経験されて、どのような感想を持たれましたか。また、社史を発行することの価値や意義についてはどのようにお考えでしょうか。

今回、社史編纂にあたって出版文化社さんから、最近の社史事情をレクチャーしていただきましたが、一昔前の社史の持つイメージが大きく変わりました。当初、社史は過去の出来事を要領よくまとめれば良いとの認識でしたが、そうではなく、社内的には会社の過去の出来事を通じて、自社を再認識し今後を見据える有効な手段となりえること、また、社外的には、自社の経営努力なり社会貢献を時系列的に訴えることかできるという点でした。

そのためには、単に事実を淡々と述べるのではなく、読者に対しより理解しやすく興味を持てるような構成なり内容にしなければならないということでした。このあたりについては、出版文化社さんの豊富なご経験から、より良い提案をしていただけました。

刊行されてからの反響はいかがでしたか。

完成社史

実は、一番反響が大きかったのは、当社役員からでした。社史は経営史でもあることから、いわば役員の通信簿みたいなものです。当初、役員の方々からは90周年史でもあるし、また過去の社史の印象もあることから、あまり大きく期待されていなかったようです。

しかし発刊後、充実した内容やセンスの良いブックデザインなど、役員の方々から多くの賛辞をいただくとともに、役員を通じて社外の方々の反響の良さについても、お聞きしています。

また、社員やOBの方々からも、立派な社史が出来あがったと喜んでいただいております。

ただ、社史編纂事務局としてのもう一つの目論見であった、「社史編纂を通じて会社を再認識し、今後の足がかりとする」という点について、社史編纂事務局の社内での働きかけの不足もあり、十分な効果が得られているのかどうか不明です。

最後に、今後、社史制作の仕事を担当される方へのメッセージをお願いします。

完成社史

社史編纂業務はともすれば、本線から外れた仕事との見方もありますが、激動のこの時代、社史編纂を通じて自社事業を過去から見つめ直すことができることは、自社を評価するという点でまたとない機会だと思います。

これから社史を担当される方は、単に自社事業の歴史をまとめるという観点だけではなく、この業務を通じて、自社の新たな方向性を見極めるというような、未来志向で取り組まれると、なお良いのではないでしょうか。

社史編纂業務を通じ、当社の利点・欠点を再認識することができ、通常業務への復帰後の業務姿勢にも大きく役立っています。
社史出版にご協力いただく出版文化社さんを賢く利用することで、ノウハウを最大限生かされることをお勧めします。

お忙しいところありがとうございました。

■近畿車輛株式会社 プロフィール
人に優しく、地球環境にも優しいものづくりを通して、社会に貢献する鉄道車両総合メーカー

http://www.kinkisharyo.co.jp/

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