
『SRSホールディングス株式会社 50年史』
当社にとって初めて制作することになった50年史。100年企業になるための
「マイルストーン」にしようと、大切に作りました。
A4判 280頁 並製本 2018年8月発行
SRSホールディングス株式会社
人事総務部 総務課
総務担当マネージャー 樋口 健志様
『50年史』の制作はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

樋口:今から20年前の創立30周年を迎えるころ、「編纂室」のような組織が作られ、記念誌の制作に取り組もうとしたことがありました。ちょうど創業社長が亡くなられて現会長の社長就任や社名の変更など、会社として大きな節目でもあった時期です。しかし残念ながら完成までには至りませんでした。
今回は50周年ということで、現会長(当時の社長)と現社長(当時の副社長)からこの機に社史を作って会社の歴史を残そう、と提案されました。会社の業績もやや回復基調にあり、タイミングも良かったのだと思います。
会社のサポート体制はどのようなものだったのでしょうか。

樋口:社史担当は私一人で、通常業務もこなしながらの兼務だったのでとても不安でした。しかし、会長・社長を始め、上司にはずいぶんフォローしていただきました。会長は、OBに創業当時のお話を伺うならどなたがいいかアドバイスしてくれたり、座談会に参加していただく各企業のトップには直接依頼をしてくれました。また、原稿のチェックや校正には上司も参加してくれました。これらは非常に心強く、ありがたかったです。
基礎情報台帳を作成するにあたっては編纂プロジェクトを立ち上げ、部署ごとに資料収集や台帳の作成を依頼することができ、効率的な素材の収集ができました。
企画から発行までに3年も費やしているので、当然その間には担当部門の責任者の異動はありました。しかし実務部隊の担当者に対しては社長自らが「どんなことがあっても社史が完成するまで異動はさせない」とおっしゃっていただき、この言葉によって私のモチベーションが維持できたのだと思います。
制作するうえで心がけたことがあればお聞かせください。

樋口:基本的には自由にさせていただいたのですが、会長からは「正確な記述であることはもちろんだが、ありきたりの硬いものではなく、若い人の発想で作ってほしい」と言われていました。ですから企画や構成といった内容の面でも、レイアウトデザインといったビジュアルの面でも、若い社員に「読んでもらえる本」とはどういうものか、意識していました。インタビューや座談会を5本も企画して生の声を盛り込んだ点、当社の各業態ロゴを配した帯を採用した点など、社史としては特徴のあるものになったと、自負しています。
校正時はひとつひとつの事象の事実確認はもとより、表現の仕方に注意するなど基本的な部分にももちろん気を使いました。
最も苦労をされたことはどんなことでしたか。

樋口:やはり資料や写真を集めることが一番苦労しましたね。本社移転を繰り返すなかでは、資料の保存もままならず、特に創業時の写真はあまり出てきませんでした。そのような中でOBや創業社長のご家族から資料や写真をお借りしたり、取材させていただいたり、あるいは図書館で終戦後の大阪の様子が描かれた資料を探して何とか集めました。また、原稿に合う写真や当時のメニューなどを資料倉庫から探し出す作業も想像以上に時間がかかりましたね。それでも資料が出てこないものは、資料からグラフを作成したりヒヤリングをもとに地図を新たに作成したりしました。
いま振り返って思うこと、今後社史制作をご検討の方々にアドバイスがありましたら、
お聞かせください。

樋口:座談会などはもっと早くに企画を固めていれば、スケジュール調整が楽になったのかな、と思います。しかしどの企画も評判が良くホッとしました。ベテラン社員からは昔を懐かしむ声が多く、中堅社員からは伝え聞いていた話の背景がわかって興味深かった、という声も聞かれました。
社史にとって必要なのはやはり写真や資料だと思います。会社は常に「走り続けている」ので各部署がこまめに写真や資料を保管する余裕はないかもしれません。ただ、5年、10年の節目でまとめておく「習慣」のようなものができれば、スムーズな社史づくりができ、制作担当者の負担軽減にはなると思います。それは社史制作のためだけでなく、各部署での業務の引き継ぎにも役立つのではないかと思いました。
お忙しいところ、ありがとうございました。
■SRSホールディングス株式会社
和食レストラン「和食さと」をはじめとする和食業態をチェーン展開しているグループの持ち株会社。現在ほかには、天丼・てんぷら専門店「さん天」、大阪・法善寺横丁の名物「夫婦善哉」、活魚回転寿司「にぎり長次郎」「CHOJIRO」、京すし「都人」、出前寿司「にぎり忠次郎」、定食メニューの「めしや 宮本むなし」、とんかつ専門店「かつや」を展開、グループ店舖数は海外も含め434店を誇る(2018年10月現在)。