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表紙

『日本ステージ株式会社 設立50年のあゆみ』

感謝の気持ちがうまく伝わるようあらゆることにこだわりました。

A4判、172頁、並製本、2014年2月発行

日本ステージ株式会社 代表取締役会長 山下 嘉治様

戦後の経済発展とともに会社も成長したとはいえ、内実は大変だったそうですね。

完成社史

当社は音楽産業やイベント業界に属していますが、“業界”という面から見ると、日本の高度経済成長が始まる時代に生まれたことが第一の幸運でした。テレビ放送で音楽番組が増えていったことや、コンサートがどんどん巨大化していったことと歩みをともにすることができたからです。第二の幸運は大阪で生まれたことで、フェスティバルホール、サンケイホール、毎日ホールと日本を代表する本格的音楽ホールが大阪にそろっていて、大阪労音という日本最大の音楽企画会社もありました。それらの関係者といち早く、緊密な取引関係を結べたことがポイントです。交通インフラが発達した今では大道具などは東京で製作して全国どこにでも運んでいますが、その当時はタレントだけが移動して、大道具はコンサートの開かれる現地で製作していました。大阪だけでも仕事はたくさんあったのです。

しかし音楽産業が黎明期であったため、毎日が試行錯誤の連続でしたし、仕事は途切れずにあったものの資金繰りは厳しく、いつ倒産してもおかしくない状態が長く続きました。口のきたない人たちは「日本ステージはもうだめだ」と噂しあっていたのですが、「こんなことでつぶれてたまるか」と意地になってがんばってきました。このような状況で一緒にやってきてくれた方々には感謝のほかはなく、カバーはもちろん書籍のあちこちに「感謝」の文字デザインをあしらったのもそのためです。私自身でも「よくぞ50年続いたものだ」と感慨深いものがあります。

感謝の気持ちを表すのに、最後まで試行錯誤されましたね。

完成社史

社史は歴史の記述が柱ではありますが、その他の部分でも隅々にまで気持ちをこめたいと思いました。これまでお世話になった方々にお願いした祝辞は、お客様(ホール関係者、企画会社等)、同業者(大道具、音響、照明等)、協力会社等40名から頂戴することが出来て、私としては大変誇らしく思っています。これほど多くの方に祝辞をお願いしたのは、当社を外部からの視点で描いていただければより当社のことがよくおわかりいただけるだろうと思ったからです。どの方も当社にとっては恩人で、どのような順で配置させていただくかは非常に悩みました。巻頭にまとめると肝心要の沿革まで見てもらえないかもしれないし、巻末にまとめると折角のお言葉に失礼でもあるしということで、沿革の章の区切り目に、いくつかのグループに分けてはさんでいくこととさせていただきました。印刷にかかる直前まで挟む位置や順番について、ああでもないこうでもないとあれこれ悩んだものです。思い立ったらすぐに出版文化社の担当者さんに電話するもんですから、彼には迷惑だったでしょうが、そんなことは構いやしません。

会社創業、大口取引の開始、いく度かの経営危機、新しい事業展開など、歴史の転換点になるところでは多くの方の助けがありました。本文にはできる限りそれらの方々のお名前を記しましたが、それは当社の社員がお世話になった経緯を忘れないでいてほしいからです。 社員については、退職者も含めて、少しでも当社に在籍した方についてはお名前を記録させていただきました。現社員の一覧表はたまに見ますが、辞めた方も含めた一覧表はあまり例がないと思います。

資料を集めるのには大変苦労されたようですね。

完成社史

今はそうでもないのですが、業界全体の文化として記録を残す習慣があまりないように思います。制作物はコンサート後は撤去して何も残さないからでしょうか。それで創業20年くらいまでは写真も資料もほとんどありませんでした。しかし幸運にも私が業務日誌としてつけていたものが創業3年目あたりから置いてあったので、それをたよりに日誌から記憶を手繰り寄せていきました。ただそれだけでは単に事柄の項目に過ぎませんから、その詳細は自分の記憶が頼りです。最初は思い出すたびに録音していったら自然に形ができるだろうと高をくくっていましたが、毎晩寝る前に少しずつやってみたものの記憶が堂々巡りするのですね。これではだめだと諦めてライターさんに話を聞いてもらったり、出版文化社の担当さんに週に1度に近いペースで話を聞いてもらったりすることで、色々なことを思い出していくことが出来ました。聞き手がいることで話す私にも刺激になりました。自分でもわがままな作り方だと思いますが、我慢強くよく付き合ってくれたと思っています。

とはいえ、私としての思いをすべて表現できたかというと、そこまではいけておりません。社史のことを考えると様々な思いが去来しますが、なかなか形としてまとめるのが難しく、迫ってくる完成期日には悩まされました。こういう制作物は100パーセントの出来は実現不可能なので、期日とのからみで割り切ろうと思うものの、次の日には「いやいや、やはり作るからには完璧にしたい」と考え直したりして、一進一退の状態が続いたのです。

社史を完成させて、どのように感想をもたれましたか?

完成社史

制作会社さんは社史のプロだとはいえ、当社の歴史を直接体験したわけではないですから、こちらの思いをわかってもらうのに大分時間を要しました。「このペースでは式典に間に合わない」とあせった時期もありましたが、最終的にはコミュニケーションもとれるようになって、うまく仕上げることができました。よくやってくれたと感謝しています。

東京オリンピックという一大イベントの開催が決まり、音楽のネット配信がますます増えていくことで、私たちの業界は今後も激変していくでしょう。しかしこれまでも変化に対応してきたように、今後も時代の変化に対応していかなければなりません。そのときに「感動を創造する」という当社の理念は大事にするけれど、その気持ち意外は皆変えてやるんだというつもりで、若い方々にはがんばってほしいと思っています。このたびまとめた50年史が若い方々にとってのヒントになれば嬉しいですね。

どうもありがとうございました

■日本ステージ株式会社

http://nihonstage.co.jp/

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