社史・記念誌でも、ビデオやCD-ROM/DVD-ROM、インターネットのホームページなど、書籍以外の体裁をとるものが増えています。従来と同じ印刷メディアでも、文庫本スタイルにするとか双六(すごろく)のような遊びの要素を取り入れる工夫も数多く見られます。
何を目的にして、誰に、何を伝えたいかということを考えると、媒体選択の幅は数多くあるということです。
CD-ROM
SONYでは、創立50周年を記念して『ソニー自叙伝』という社史的読み物(市販品)を発行しましたが、その付録としてCD-ROMをつけています。同社の全社的な歴史はもちろん、製品開発・デザイン・広告といった部門ごとの歴史を映像と音声で眺めることができるようになっています。
双六
医薬品卸の三星堂は創業95周年を機に、同社の歴史を双六(A全判)形式で作成しました。創業の年をふりだしに52コマの写真や図版を使って、シンプルにまとめられています。
DVD(ビデオ)
日本ケミファは、同社の40年の歩みと会社の現状、これからのビジョンなどを企業PR用として約10分間のビデオ(近年はDVDが主流)にまとめています。創業、社名変更、上場、製品開発、事業の多角化、海外との提携、今後の展望等が簡潔に紹介されています。
また、創業者にスポットをあてたビデオもあります。京都のある漬物屋では、創業者が京都の老舗に丁稚奉公し、独立するまでをプロの俳優を使って1時間ドラマにしています。
文庫本
階段製造のYOKOMORIは、自社の紹介をするのにヨコモリ文庫という形で『カイダン博覧館 I・II』を出版しました。この文庫は、同社が戦後50年の間に日本の建築技術の発達とともに歩んだ階段づくりの歴史が、技術とうんちくと世相とのからみで、面白おかしく活写しています。まったく新しい発想の、ひと味違う社史といえます。
ホームページ
東武グループのホームページ「TOBULAND」には、「東武鉄道100年の歴史」というコーナーがあり、明治28年以来の同鉄道の開・廃業の歴史が年表形式で詳述されています。
また、「ようこそ! カバハウス ホームページへ」と題したトヨタ自動車労働組合のホームページでは、マスコットのカバを使って「組合50年の歴史」を解説しています。