こぼれ話 必ず一度は原典と照合すべし

必ず一度は原典と照合すべし

A社から「取引先関連の記事で大きな誤植をしてしまった。適切なカバーの仕方を教えてほしい」という連絡を受けた時は、正直、我が耳を疑った。A社は、校正の時間を十分に確保するために、2度も納期を延ばした顧客。A社側の編纂担当者にも、当社編集担当の私にも、校正の時間は十分にあり、2人とも“少なくとも致命的な誤植はないはず”と自信を持っていた。

それが、なぜ? 答えは明快で、元原稿とした書類に不備があったのだ。誤植個所は、取引先主催の販売コンクールでのA社の受賞記録で、授与者の「常務」の肩書きが「社長」になっていた。原典は壁際に並んだトロフィーと賞状。さすがにこれ自体は原稿にできず、書き写して元原稿を作成したが、賞の授与者はその前年まで社長で、この年から常務に変更になった。その変わり目での転記ミス。

分かってみればいかにもありそうな単純ミスで、トロフィーや賞状本体と一度も照合しなかった油断が悔やまれる。たとえ相手が銅像、石碑やトロフィーのようなモノでも、必ず一度は原典と照合すべし―改めてこの基本を確認した苦い経験だった。(吉田)

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