あらゆる可能性を追って収集

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『国士舘80年の歩み』(A4判272頁、1997年11月発行)のケース

学校法人国士舘 資料室(現在は文学部事務室勤務) 佐藤芳郎様

名簿を頼りにコツコツと収集

今回の出版は本学80年の歩みを学校制度の視点から概観でき、しかもいずれは編纂されるであろう正史のための準備として写真や資料を収集・整理・保管するという目的を兼ねた「写真集」を作るという位置づけでした。

開学以来の歴史が長いうえに、昭和20年の数度の空襲で多くの資料類が消失・紛失しており、まずどのようなものが現存しているかという調査から作業を始めました。幸いなことに、創立者の柴田徳次郎先生がマスコミへの関心が高く資料の保管に熱心だったため学校関係の認可書類等の多くが残っていました。また、国立公文書館、東京都立公文書館、渋沢史料館などにも多数の書類が保存されていました。

とはいえ、それだけで80年の歴史をビジュアルに再現することは不可能ですから関係者から写真を集める必要がありました。卒業生は全国におられるためにどうしてコンタクトしようかと考えましたが、広報の先輩が戦前からの卒業生を網羅した名簿を作っておられたために、それをもとにして手紙や電話でこまめに連絡を取り、貴重な写真類を提供していただくことができました。それでも欲しい写真がないときには国土地理院で極東軍の空撮写真を借りたり、新聞社に本学関係の記事のコピーをいただいたりしました。

1万点もの写真からセレクト

そのようにして集まった写真や図版の原版はおよそ1万点以上になりました。選定にあたっては、原版をそのまま取り扱うと貴重なものが損傷するおそれがあるため、すべてB5判にコピーして作業を進めました。それを何度か繰り返しながら3〜4000枚を選び、最終的には約700点に絞った写真や図版を「写真集」に掲載しました。

苦労して収集した写真や図版は、掲載しなかったものを含めてほとんどを専門のカメラマンや複写会社に依頼して35ミリのスライド(一部4×5)およびキャビネ判のプリントにし、いずれも専用のキャビネットに納めてあります。また、説明文も写真との共通コードをつけて別途保管しました。かなりの手間と費用がかかりましたが、アナログ方式としては、ほぼ完全に近い保管ができているのではないかと思います。

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