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表紙

『日本高圧電気株式会社70年史』
A4判並製本 カラー96頁 2026年2月発行

前回の60年史以降の10年間では、電力業界のダイナミックな変化に対応していくため、“会社を変える” という想いが育まれてきた。これが重要なポイントであると、編纂ご担当は語ります。
そういった“年代の空気感”を社史に表すのに、どのような工夫がなされたのでしょうか?

日本高圧電気株式会社
管理本部 総務部 総務グループ
岡田 直樹 様

“作成した年代の空気感” が伝わる社史を目指しました。

70年史を制作した目的を教えてください。

岡田:70年史の制作目的として、以下の3点を掲げました。

  1. 歴史を深掘りし、次代へと伝える
  2. 新たな会社の展望についてまとめる
  3. 作成した年代の空気感を伝える

制作にあたっては、これら3つの目的のうち、特に第3の “各年代の空気感を伝える” ことを重視しました。歴史や会社の展望を記録・整理することは社史として当然の役割ですが、私はそれだけでは不十分だと考えています。なぜなら、当社の歩みは出来事や数字だけではなく、その時代に働く人々によって生み出される雰囲気や組織風土、つまり空気感によっても形作られてきたからです。

空気感もまた歴史の一部である以上、“歴史を深掘りし、次代へと伝える” という第1の目的を十全に達成するためには、第3の “各年代の空気感を伝える” ことが必要不可欠である……ということになります。したがって、今回の70年史は、いかにして空気感という抽象的なものを書籍の形に残すのか、という命題を抱えてスタートすることになりました。

歴史編 写真:歴史編 画像を拡大
歴史編 制作風景 写真:中口絵 制作風景 画像を拡大

“空気感を伝える” ために、どのような点を意識されましたか?

岡田:当社はこれまで、おおよそ10年に1度のペースで社史を発刊してきました。これらは見やすさを重視した視覚的な社史としてまとめられ、多用された写真がその時代ごとの空気感を今に伝えています。

今回発刊した社史では新たな試みとして「未来編」を設けました。これは、「トップインタビュー」「社長・社員座談会」「若手が主導したプロジェクトの実績紹介」の3企画で構成され、社長や社員の生の声を伝えることで、“現在の空気感を伝える” ことに大きく貢献しています。

また、今回の70年史では、装丁やデザインも一新しました。この10年間は当社にとって、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を新たに策定することで、ブランディングに注力した期間でもありました。当社がこれまでに発刊してきた社史を並べてみたときに、「ここで当社のイメージは大きく変わったんだな」というのがはっきりとわかる社史に仕上がったと思います。

巻頭口絵 MVV 写真:巻頭口絵 MVV 画像を拡大
未来編 若手プロジェクト 実績紹介 写真:未来編 若手プロジェクト 実績紹介 画像を拡大

社史制作の中では、主にどのような点に苦労されましたか?

岡田:苦労したのは、やはり情報収集の部分です。前述したように過去に定期的に社史を発刊していたため、情報収集の対象となったのは主に近10年分の資料だったのですが、それでも多くの苦難がありました。

最も頭を悩ませたのは、掲載しやすい内容のトピックが少なかったことです。点で見ていけば出来事は見つかります。しかし、それらの出来事が歴史の流れとして上手くつながらず、全体のストーリーが見えてこない……という状況でした。

結果としてこの問題は最後まで解決には至らず、近10年の部分は少々淡白な印象を受ける仕上がりになってしまいました。この問題の解決は非常に難しいですが、日頃から出来事のつながりを意識して資料や情報を整理しておけば、もう少しストーリーとして完成させられたのではないかと思います。


そのほか、社史制作で工夫された点、力を入れた点を教えてください。

岡田:特に会社として力を入れたのは、前述した「未来編」内の企画、「トップインタビュー」と「社長・社員座談会」の2つです。

「トップインタビュー」は、社長の想いをダイレクトに伝える場として設定しました。中期経営計画や今後のビジョンをテーマにしつつ、当社社員へ強く訴えかけるような内容でまとめています。

「社長・社員座談会」は、新たに策定したMVVをテーマとし、 “MVVがどこまで自分ごとになっているか” を社員に問いかけるような内容としました。海外出向中の社員もオンラインで参加してもらうなど、多様な視点・立場から議論が行われるように工夫をしています。

どちらも、読者対象を当社の社員に絞ることによって、強い訴求力を持った企画に仕上がったのではないかと思っています。

未来編 トップインタビュー 写真:未来編 トップインタビュー 画像を拡大
未来編 社長x社員クロストーク 写真:未来編 社長x社員クロストーク 画像を拡大

貴社にとってこの10年間はどのような10年間で、それがどう社史に反映されているのでしょうか?

岡田:2010年代の当社は、決して良い状況ではありませんでした。「東日本大震災で原発の稼働が止まり、業績が悪化した電力会社が設備投資の抑制や調達価格の引き下げに走る中で当社の業績も悪化し、製品不具合も重なったことで2019年には赤字転落も経験しました。この10年は、こうした苦しい状況の中で、“会社を変える” という想いが育まれていった10年だったのではないかと思います。

2019年には社長が交代し、新たな中期経営計画が発表されました。電気工事業や建設業といった新たな事業分野へと踏み込み、電力会社への依存から脱却することを目的とした挑戦が始まっています。また、前述したようにMVVを策定し、我々自身の自社への認識を改めたり、対外的なイメージの刷新にも着手したりしました。

これから社史を制作される皆様も、ご自身の会社が現状に至るまでにはどのような歴史の流れがあり、それに対して経営者や担当者ご自身はどう考えるのか、そしてそれを反映するためには社史にどのような工夫を施したらよいのか……という視点を持つようにすると、きっと良い社史が出来上がるのではないかと思います。

お忙しいところ、ありがとうございました。

■日本高圧電気株式会社


1956年設立の配電用機器メーカー。CF遮断器、カットアウト 箱型、高圧開閉器 架空線用、高圧ヒューズ、低圧ヒューズ、送電線路用故障標定システムなど、メーカーとしての強みを活かし、顧客のあらゆる要望に対応。主な取引先は鉄道会社および国内の全電力会社で、とりわけ高圧カットアウトは60%のシェアを占める。
従業員数430名(国内250名  海外:180名)
【公式ウェブサイト】 https://www.nkeco.co.jp/

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