こぼれ話 「ゴールへ向かって」

「ゴールへ向かって」

社史の完成予定日というゴールに向かって、どんな足取り、どんなペースで歩んでいくか。ここにも顧客企業の、あるいはその編纂担当の方の個性が現れる。

ほぼ同時に私の担当でスタートした機器メーカーのA社とB社は、企業規模も、制作期間も大差なく、編纂担当者の数も仲良く4人ずつ。しかし、両社の足取りは当初から大きく異なった。

技術部門出身の方が核となったA社の制作進行は、工場の生産計画さながら緻密かつ正確で、プロの筆者のほうが煽られ通し。ついに1カ月に50人以上取材という記録まで作ってしまった。他方、事務部門の方が核のB社は取材で粘りに粘って予定期間を3か月もオーバーした。

ところが、A社は予定になかった事業を新たに盛り込むことになり、10か月延長が決定。するとペースが一転、大半組み上がったゲラを社内各部門に徹底的に回覧して精度と質の向上を図った。今度はカタツムリの歩みながら粘り強く、その間の組替えの多さには少々閉口させられた。一方、B社は原稿チェックの段階から応援部隊を投入。ジェットコースターに乗り換えたようにペースアップし、予定通りゴールしてしまった。原稿チェックから納品までの期間を比較すると、結果としてA社はB社の4倍強に達した。

全作業を終えた日、B社の方が筆者にそっと耳打ちした。「ウチはいつもこの調子なんですよ」。やり終えた安堵感とともに、ふと思った。このセリフを聞くのは、これで何社目だろうか?(吉田)

Share (facebook)