既存の記録をフルに活用

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『綜研化学五十年の歩み』(A4判217頁、1999年4月発行)のケース

綜研化学(株)50年史編纂委員会事務局 猪股麒一郎様

記録を残す習慣があった!

当社は定款に「理化学応用の研究並びに工業化に関する一切の研究」と謳われているように、研究開発を目的として設立されました。そのため創業以来、事業の中心はさまざまな分野の技術者たちでした。したがって、最初から研究の過程や成果、各種の申請書類・図面などをきちんと記録して整理・保管する習慣、社風があったようです。

おかげで困難が予測された創業時に関する資料は、平成8年に刊行された「綜研化学草創期の開発記録」に収録されており大いに役立ちました。そこに記述された各人の生の声は、全部を掲載できずに困ったくらいです。また、年表作成も10年ほど前に「創立40周年年表」がかなり整った形で整理されていたため、若干の訂正をしただけでスムーズな作業ができました。

さらには、研究報告書、プラントの建設報告書などが写真や図面添付できちんと保存されていたために、創業40年までの資料収集や整理はたいした苦労や困難もなく実にスムーズでした。

最近10年の資料は「社内報」から

ところが最近10年に関しては年表づくりから始めたため、若干の苦労を伴いました。それは、会社が21世紀に向けてさまざまな変革を始めた時期であり、年表だけではわからない人事・組織・業務内容の新しい動きを詳細に把握する必要があったからです。また当事者が現役で活躍しているので正確に記述する必要もありました。しかし、これも「社内報」に各部署ごとの「今年の10大ニュース」という企画があったため、それを中心にして関連したできごとを調べるのは比較的容易でした。

つまり当社の場合は、資料の収集・整理に関してはたいした苦労はありませんでしたが、そこで気がついたことは次の3点です。

      1.重要な事項は年度別にピックアップする
      資料を社史用に採用するかどうかを決める前に、集めたデータをすべて網羅して並べる。
      2.取捨選択の基準を明確にしておく
      人によって解釈が異なることがないようにする。また社史編纂以降の記録保存や次の社史編纂の参考となる。
      3.内容の正確さに疑問が生じたときはすぐに明らかにしておく  
      その場で解明しないと結局はうやむやになったり、忘れてしまいやすい。

編集を終えてとくに大切だと感じたことは、“守秘義務”ということです。編集の担当者は資料収集を通じて多くの情報を知る機会がありますが、それらを絶対に口外しないことです。これは信頼の問題であり、品位に関わることでもあると思いました。

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